太陽光パネルの大手、サンテックが破産。もともと儲からないことは皆分かっていたハズ
中国の太陽電池メーカー尚徳電力(サンテックパワー)が破産し、江蘇省の地元裁判所が法的整理の手続きに 入った。同社は世界シェアトップに立ったこともある太陽光パネルのメーカーで、代替可能エネルギー・ブームの火付け役的存在。太陽光パネルの業界は不振が続いているが、同社の破産によって、この分野の凋落がより鮮明になった。
同社に対しては、中国工商銀行など9行が71億元(約1100億円)を貸し出している。3月15日に満期を迎えた転換社債(CB)5億4100万ドル(約520億円)がすでに償還不能となっているという。
海外の投資家など6割の債権者が2カ月の支払い猶予を認めているが、償還ノメドは立っていない。
サンテックは太陽電池の研究者であった施正栄氏が2001年に中国で創業。たちまち急成長し、太陽光パネルの主要メーカーに躍り出た。2006には施氏が中国の富豪ランキングトップとなった実績もある。だが価格競争が激化し収益が悪化、一時90ドルを超えていた同社の株価は0.5ドルを切るまでに下落していた。
サンテックに限らず、太陽光パネルメーカー各社の業績悪化は、ほぼ事前に予測されていた。代替可能エネルギーがブームとなり、世界中の企業がこの分野に進出したが、太陽光パネル自体はかなり昔から存在する付加価値の低い技術。過当競争になるのはほぼ確実であった
サンテック社のある江蘇省では205社の太陽光パネルメーカーが存在しており、うち半分は2010年9月以降に設立された新しい企業。その多くが利益を出せずに苦しんでいる。
現在世界には2000万kw分パネル需要があるといわれているが、すでに供給量は5000万kw分にも達している。米国においてもオバマ大統領の肝煎りで太陽光関連産業が後押しされたものの、多くがうまくいっていない。
参入した事業者自身を含め、太陽光パネル業界があまり儲からないことは誰もが分かっていたことである。だが参入が容易であることや、クリーンエネルギーブームが背景にあったことから、多くの事業者がイチかバチかで参入を続けてきた。
太陽光関連事業が置かれた現状は、いくら話題性があっても、付加価値のない産業は儲からないという経済のイロハを示すよい事例といえるかもしれない。
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