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公示地価が底入れとマスコミが一斉報道。だがその前にやることがあるはずだ

 

 国土交通省は3月21日、1月1日時点の公示地価を発表した。これをうけてマスコミ各紙では「地価に底打ち感」「3年連続で下げ幅減少」とあたかも不動産価格が堅調であるかのような報道を行っている。それもそのはず、国土交通省がマスコミ向けに配った資料にそのように記載されており、記者はそれをマル写ししているだけだからだ。

 確かに公示地価の下げ幅は縮小しており、下げ止まり感が出てきたといえなくもない。だが、地価そのものは、住宅地で前年比1.6%のマイナス、商業地は2.1%のマイナスで、5年連続の下落である。

 もちろんアベノミクスによって市場にはインフレ期待が拡大してきており、いずれ地価にも反映される可能性は高い。だが現在は、株高によって高額商品の販売が好調になるなど、まだまだインフレの初期段階である。地価が上昇に転じたわけではない。
 しかも、ピーク時から比べると地価は4分の1以下の水準であり、約1000兆円もの国民の富が失われたままだ(国家予算の10年分である)。どん底状態での下げ幅縮小というのが正しい姿だろう。

 今後日本でインフレが進むのであれば、地価も併せて上昇していく可能性が高い。だがバブル経済時代から変わっていない日本の不動産金融システムを改善しないままでは、多くの国民が地価上昇の恩恵を受けられないという本末転倒の結果にもなりかねない。地価の上昇を期待するのはよいことだが、その前にやるべきことが山積している。

 日本の不動産金融システム最大の欠陥は、住宅用不動産が新築に著しく偏り、中古住宅が資産として機能していないことである。
 日本の住宅流通市場のうち、中古住宅の占める割ははわずかに13%。先進国では異常に低い数値だ。それは住宅メーカーやデベロッパーの儲けを優先し、国が新築優先の政策を続けてきた結果である。このため中古住宅には十分な担保価値がないと判断され、中古住宅をベースにした金融サービスが十分に発達していない。
 成熟国家になった今、圧倒的に数の多い中古住宅が国民の資産として機能しないというのは、日本人の資産形成や生活水準の向上に悪影響を与えている。

 国土交通省もようやく重い腰を上げ、中古住宅の流通市場の整備に動き始めている。安易に不動産価格の上昇を期待するのではなく、日本人の生活水準を向上させる地道な努力が求められている。

 - 政治, 経済

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