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公的年金が海外インフラ投資への参入を検討。国内の株式はどうするの?

 

 日本の公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用指針の見直しを検討している。海外のインフラ事業に対する投資を検討し、投資先の多角化を目指すという。

 GPIFでは、昨年から海外インフラ事業に対する投資について調査研究を進めている。海外インフラ投資とは、海外の道路や港湾、空港などに対する投資のこと。長期にわたって安定的にリターンを得ることができるほか、株式や債券など他の資産との連動性が低いことから、海外の年金ファンドの中には積極的に組み入れを進めているところも多い。

 今後長期的な円安が見込めることや、新興国の発展が期待できることなどから、日本の公的年金においても、組み入れを具体的に検討していくという。

 年金の運用先が拡大すること自体は悪い話ではないが、海外のインフラ投資には欠点もある。インフラ投資は換金性がほとんどなく、一旦投資したら投資先と最後まで心中しなければならない。また現地の状況に詳しい専門家が少なく、適正が投資半が難しいという問題である。
 さらに日本の場合には、少しやっかいな問題が背景に横たわっている。肝心の国内において優良な投資先が少ないのである。

 日本の公的年金の資産配分は、国内債券70%、国内株式11%、外国債券8%、外国株式10%、短期資産1%となっており、国内債券(国債)に極端に集中している。国債が中心なのはどの国の年金も同じだが、日本の場合には、国内株式の割合が非常に少なく、外国株式の割合が高いという特長がある。

 こうなっている原因のひとつには、日本の株価低迷が続き、株式のパフォーマンスがよくないということがある。一方、公的年金は最大の機関投資家であり、公的年金が株を買わないので、日本の株が上がらないという側面もあり、鶏と卵状態である。
 どちらが正しいかはわからないが、少なくとも日本の公的年金は日本の株式を信用していない。つまり自国の経済的発展を信じていないのだ。

 外国株への投資比率が高かったり、ある程度のリスクがあるにも関わらず海外のインフラ投資を検討する背景には、投資先の多角化というテーマもあるが、それ以上に、日本の成長を信じることができないという現実が存在しているのだ。

 政府は成長戦略をうたい、国内景気を回復させると言っている。だが一方で多くの日本人が支出に前向きになれないのは、日本の将来に不安を感じているからである。大事な年金を預かる組織が、日本の株式が怖くて買えないというのなら、誰が日本の将来に期待が持てるというのだろうか?

 GPIFでは国内株式の組み入れ比率の上昇も併せて検討しているという。現在、足元の市場ではアベノミクスへの期待から久々の株式ブームとなっている。最大の投資家であるGPIFが日本株に対してもう少し積極的な姿勢をみせれば、株式市場はさらに活況を呈するかもしれない。GPIFの日本株に対する姿勢は、アベノミクスの株高がバブルなのかどうかの一つの試金石となるのかもしれない。

 - 政治, 経済

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