ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

日銀の資金循環統計から分かる、日本人のお金に関する行動は案外合理的という事実

 

 日本人のお金に関する判断はかなり合理的だった。日銀が発表したは2012年10~12月期の資金循環統計によると、日本の家計部門は、年々預金の割合を高め、利回りの低い国債を減らす一方、昨年からは株式を徐々に買い始めていることが分かった。

 家計の金融資産総額は2012年12月末時点で1547兆円となり、前年同月末と比べて3.1%増加した。
 もっとも割合が高いのは現預金で、残高は約854兆円にもなる。現預金の額は毎年増加しており、デフレで先行きが不透明な中、貯金に励んでいる姿が想像できる。

 政府は国債の消化能力を懸念しており、個人向け国債をさかんにPRしてきた。だが個人は完全にそっぽを向いており、国債の保有残高は年々減少の一途を辿っている(その代わりに金融機関が大量に国債を買い支えている)。

 日本はもともと現預金の比率が高く、株式への投資が消極的という特長がある。ここ数年の株価の下落を反映して、株式の残高は急激に減少しており、2007年と比較すると半分近くまで減ってしまっている。だが2012年は投資信託と株式の残高がとうとう増加に転じた。アベノミクスへの期待感から年後半に株式を購入した個人が多いことをうかがわせる。もっとも株式も投資信託もそれぞれ約60兆円程度の残高であり、現預金に比べればまだ微々たるものだ。

 日本人は保守的で、かつその中で合理的に資産を選択しているようである。この後ろ向きのスタンスが長くデフレが続いた原因の一つでもあることから、一概にいい結果とはいえないが、日本人の特徴をよく表わしていることだけは間違いない。

 もし日本人の投資行動が合理的だとすると、客観的に見て最大のリスクは銀行が保有する国債ということになる。日本人が個人向け国債を積極的に購入していないということは、国債に魅力を感じていないか、あるいは国債はリスクが高いと感じているかのどちらかである。
 もし後者なのだとすると、国債が下落する可能性が高いと判断される事態になった場合、日本人は自らの預金をどう扱うのだろうか?キプロスのように一斉に預金を引き下ろしに走るのか、それとも大人しく我慢しているのか、結果がはっきりするような事態にならないことを祈りたいものだ(本誌記事「キプロスの預金没収で脳裏によぎったのは日本における「預金封鎖」と「財産税」)参照)。

 - 経済

  関連記事

singapol
習近平氏はシンガポール型経済システムに着目。だが実現は絶望的?

 新しく中国共産党総書記に就任した習近平氏が、問題山積の中国の現状に対してどのよ …

no image
ミャンマーとの経済協力で日本は一歩リード。だが手放しでは喜べない

 民主化と経済開放が進みつつあるミャンマーとの経済協力について、日本が他国を一歩 …

kinko
金庫バカ売れ!タンス預金増加の兆候は果たして何を意味しているのか?

 マイナス金利をきっかけにタンス預金が増加する兆候が出てきている。もともと日本は …

no image
ウォルマートが低所得者向けの新しい金融決済サービスを開始。日本も参考にすべし

 米小売り最大手ウォルマートとクレジットカード大手アメリカン・エキスプレスは、プ …

rakutenamazonyusi
楽天、アマゾンの出店者向けローンが、地銀再編の起爆剤に?

 楽天やアマゾンなどネット通販各社が、自社サイト出店者向け事業者ローンの拡大を進 …

brasil
インフレによる不満から大規模デモとなったブラジル。アベノミクスの悪いシナリオを暗示?

 サッカーのコンフェデレーションズ杯が開催されているブラジルで、公共料金の値上げ …

conbini
コンビニ最終戦争?セブンは沖縄出店、ファミマとサークルKサンクスは経営統合。

 コンビニ業界でシェア拡大を目指した動きが活発化している。最大手のセブン-イレブ …

volcker
FRBの量的緩和縮小はいつか?インフレ退治の鬼ボルカー元議長は早期縮小を主張

 FRB(連邦準備制度理事会)の出口戦略をめぐって米国市場が困惑している。遠くな …

abekaiken
設備投資が回復せずアベノミクスは完全に手詰まり状態。原点回帰しか方法はない?

 内閣府は6月12日、4月の機械受注統計を発表した。民間設備投資の先行指標といわ …

mitsukoshi
個人消費が中間層にも拡大の兆し。日本経済が構造転換したサインか?

 これまで富裕層に限定されていた消費拡大が中間層にも波及する可能性が出てきた。日 …