ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

フィリピン人メイドの永住権訴訟で、香港と中国の関係性が再び議論の俎上に

 

 香港でメイドとして働く外国人労働者に永住権を付与しないとした香港の司法判断が、香港で波紋を呼んでいる。

 香港にはフィリピン人などを中心に約30万人のメイドが働いている。香港の法律では連続7年間香港で就労した労働者は香港の永住権取得を申請することができる。
 だがメイドなど家庭内労働者はその例外となっているため、フィリピン人のメイドであるエバンジェリン・バナオ・バレオスさんらが、裁判を起こしていた。

 香港の高等法院(高等裁判所)は2011年、バレオスさんらには永住権を取得を請求する権利があるとの判決を下した。しかし香港当局は、人口過密の香港に人々がさらに人々が押し寄せることになるとして上告していた。香港の終審法院(最高裁判所)は3月25日、永住権の申請は認められないとする判決を言い渡し、法廷での争いは終結した。

 だがこの裁判をきっかけに中国の香港統治に関する議論が再び熱を帯びてきている。この法廷闘争では、香港当局が移民問題について中国政府(全人代常務委員会)の助言を求めることを提案していたからである。
 移民問題そのものについては、香港当局側の勝利となったが、終審法院の判決は、中国政府に最終判断を仰ぐ必要性はないとの見方も示した。これは香港では大きな意味を持っている。

 香港では法の支配をめぐって、民主派と親中国派との間で激しい争いが行われている。中国寄りの立場の人は、香港は中国のものであり、香港には独立した法の支配はないと考えているが、民主派の人は、香港は独立しており、法の支配も確立されるべきだと考えている。
 現在は中国政府に直接関係のある法律については、中国当局の助言を求めるが、香港独自のものにはそれは適用しないという曖昧な状況となっている。

 だが移民問題は中国政府と直接関係するテーマであることから、今回の司法判断はある意味で香港の独立性を高めるものとなった。この判決に対する中国側の立場は明らかではないが、今後、中国と香港で法の独立をめぐって、さらにせめぎあいが激しくなることが予想される。

 - 政治

  関連記事

abe20150715
盤石の安倍政権に黄色信号。日本市場における政局リスクが徐々に顕在化

 日本の株式市場に政局リスクが浮上し始めた。内閣支持率が急落していることに加え、 …

abeseichou02
成長戦略に関する議論を大胆に整理してみると・・・・話は意外と簡単だった

 アベノミクスにおける3本目の矢である成長戦略の迷走が続いている。当初、成長戦略 …

rokkasho
再処理工場の新規性基準了承。欠落する核燃料サイクルに関する包括的議論

 原子力規制委員会は9月11日、使用済み燃料の再処理工場などに適用する新規制基準 …

seichousenryaku201406
新成長戦略の骨子が明らかに。従来とはうって変わって構造改革的な要素が前面に

 政府の産業競争力会議は2014年6月10日、今月下旬に閣議決定が予定されている …

abe
安倍総裁が「ぶら下がり取材」の拒否を表明。背景には日本人の知性の劣化がある

 自民党の安倍総裁は、野田首相と同様、首相官邸で記者団の質問に答える、いわゆる「 …

sinjuku
実質賃金は下がっているのに、社会的満足度が過去最高の理由

 内閣府は2017年4月3日、「社会意識に関する世論調査」の結果を発表した。現在 …

no image
エコカー補助金をもらっておきながら自動車税廃止を要求する厚顔無恥な自動車業界

 自動車業界関連団体は29日、自動車2税(自動車取得税と自動車重量税)の廃止を要 …

shirakawae
前原大臣が白川総裁とガチンコ対決。日銀はいつまで粘れるか?

 本日(5日)開催されている日銀の金融政策決定会合に、前原誠司経済財政相が出席し …

tusuruga
敦賀原発が廃炉に?重大な結論を「空気」で決めるのは誰も責任を取りたくないから

 原発停止をめぐってまた茶番劇が繰り返されている。原子力規制委員会の調査団は10 …

pentagon
米国防総省が中国の技術開発を追跡するプロジェクトを開始。これが意味すること

 米国防総省は中国の技術開発が安全保障上の脅威になる可能性が高いとして、中国が開 …