ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

就活は4年生からと政府が要請。だが建前を並べたところで、現実問題は解決しない

 

 政府は、大学生の就職活動の解禁時期を現在の3年生の12月から、4年生の4月に変更するよう経済界に要請する方針を固めた。
 産経新聞の報道によると、現在、経団連が会員企業に早期採用を自粛するよう呼びかけている「倫理憲章」の改定を求めるという。就職活動に奪われていた時間を本来の学習に使えるようにし、即戦力となる社会人を育てる。6月にまとめる成長戦略にも反映させる意向だという。

 現在、大学生を対象にした採用活動の解禁は3年生の12月となっている。これを4年生の4月に遅らせ、面接や筆記試験の実施は4年生の8月以降とする。学生の就職活動が早期化し、学生の負担になっている現状を見直す。

 だがこの措置は「いつか来た道」であり、問題の抜本的解決にはならない可能性が高い。
 かつてバブル経済の時代、就職市場は完全な売り手優位であった。企業は「いい大学」の人材をできるだけ確保しようと、採用活動はどんどん早期化した。学生も志望企業からの内定をできるだけ早く貰いたいとの思いから3年生のうちから、事実上の採用につながるOB訪問を行うケースが続出した(青田買いと呼ばれた)。
 当時は企業と大学で「就職協定」というものが結ばれており、会社訪問の解禁日を設けていたが、これは完全に有名無実であった。

 新聞やテレビは、協定を守らない企業を激しく非難していたが、協定無視の採用活動にもっとも積極的だったのが大手マスコミというのが現実だったのである。

 企業の就職活動は、状況こそ異なるとはいえ、30年前も今も大きな社会問題である。つまり日本企業の採用をめぐる状況は30年間何も変わっていないのである。
 その根本的な原因は、終身雇用が保障された正社員という枠を、新卒一括採用で確保するという日本企業の雇用慣行にあることは明らかである。

 日本社会では、企業の正社員になり終身雇用が保障された人と、その枠に入れなかった人とでは、それこそ天と地ほどの違いになる。雇用が流動化されていれば、途中で人材の入れ替わりがあるが、実質的にそのような機会はない。新卒での就職には一生がかかっているのだ。

 このような状況では、いくら建前を並べたところで、本質的な解決にならないのは明らかだ。

 - 社会, 経済

  関連記事

gdp2013q1
1~3月期のGDPは、個人消費が好調で年率3.5%成長に。ただし設備投資は低調なまま

 内閣府は5月16日、2013年1~3月期の国内総生産(GDP)を発表した。物価 …

tokyoelec
東京エレクトロンと米アプライドの「対等」な合併という真の意味は?

 半導体製造装置国内トップの東京エレクトロンと、世界シェアトップの米アプライドマ …

hanedanarita
羽田・成田の地下鉄建設に年金と生保資金を活用。本当に大丈夫なのか?

 国土交通省は2020年代の開業を目指している羽田・成田を結ぶ地下鉄路線の建設に …

brics2014
新興5カ国がBRICS開発銀行と外貨準備基金の設立で合意。世銀とIMFに対抗

 インドや中国など新興5カ国(BRICS)は2014年7月15日、ブラジルで首脳 …

ecb02
欧州中銀がマイナス金利導入を決定。背景は「日本化」に対する懸念

 欧州中央銀行(ECB)は2014年6月5日、定例理事会を開催し、追加の金融緩和 …

setsubitousi
8月の機械受注が大幅減。7~9月期GDPはマイナス成長の公算が高まる

 7~9月期のGDP(国内総生産)が4~6月期に続いてマイナスとなる公算が高まっ …

niinami
ローソン新浪氏を社長に招聘したサントリー。長年の「迷い」を断ち切ることができるのか?

 サントリーホールディングスは、ローソン会長の新浪剛史氏を10月1日付けで社長に …

foxconn
中国の鴻海で組合代表者の自由選挙を実施。グローバルなモノの流れが変化する?

 アップルからiPhoneなどの製造を一手に引き受ける中国のフォックスコン社(台 …

marines
日本の軍事費は世界第5位に。だが自衛隊の「質」はどの程度なのか?

 スウェーデンのシンクタンク・ストックホルム国際平和研究所は4月15日、世界の軍 …

no image
インサイダー疑惑で露呈した証券会社の下半身接待。なぜ増えているのか?

 証券会社による一連のインサイダー取引疑惑によって、証券業界の下半身接待の実態が …