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先進国と新興国の人材移動が活発に。グローバル時代の厳しい現実

 

 経済危機の長期化とグローバル経済の進展によって、先進国と新興国の間における人の移動がより活発になってきている。
 リーマンショック前までは、好調な経済を背景に、新興国から先進国へと人が流れたが、景気低迷が長期化している欧州では逆に、欧州各地から新興国へと移住する人が増加している。一方、景気が回復軌道に乗り始めている米国では、逆に移民が押し寄せており、移民の合法化や受け入れ枠の拡大が重要な政治テーマに浮上してきている。

 経済危機が表面化する前のスペインでは、モロッコなど地中海を挟んだアフリカ大陸の新興国や中南米の旧植民地から多くの人材を受け入れていた。だが経済危機によってこれら移民の多くは解雇され、母国に戻った。

 だがスペインの景気低迷が長期化していることから、最近では職を求めてモロッコなどに移住するスペイン人が増加しているという。グローバル経済の進展で格安航空会社などのサービスが普及していることも、人の移動をより容易にしている。
 ただモロッコに行っても簡単に仕事が見つかるわけではない。スペイン人など先進国の人材に求められているのは熟練性であり、付加価値の低い、単純労働のニーズはないからだ。

 一方、米国のIT業界では慢性的な人材不足に陥っており、優秀な人材を確保しようと各社が移民の争奪戦を行っている。IT業界では、優秀な人材の確保が必要不可欠だとして、米国政府に対して移民受け入れの条件を緩和するよう強く求めている(本誌記事「動き出した米国の移民制度改革。その影響はやがて日本や中国にも及んでくる」参照)。
 それとは反対に、古い技術しか持っていないエンジニアは米国内で職がなくなり、インドやフィリピンなど、米国のアウトソーシング先の国に移住するケースが増えてきているという。

 日本には、こういったグローバル化の荒波はまだ押し寄せていないかもしれない。だが職を求めて日本からタイやカンボジアなどアジア各地に移住する人は着実に増えてきている。
 特にタイでは、完全な日本人コミュニティが出来上がっており、タイ語が分らなくても、生活には困らず、仕事も日本より容易に見つかるという。

 こういった国際的な人材の移動は、これから拡大することはあっても縮小することはないだろう。それぞれの国や地域において、こういった動きを制限しようという試みも見られるが、大きな流れとしては、オープン化の方向に動いていることは間違いない。

 - 政治, 経済

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