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北朝鮮問題とイランの核問題はリンクしている。日本人に求められる複眼的見方とは?

 

 北朝鮮と米韓の緊張が高まる中、米海軍が中東で展開していた空母「ジョン・C・ステニス」を、アジア地域に移動させたことが明らかとなった。北朝鮮に対する圧力を強化するのが狙いとみられる。

 北朝鮮が米韓に対して挑発行為を繰り返していることから、米軍はB52爆撃機やB2ステルス爆撃機を韓国との共同演習に参加させ、北朝鮮に対する圧力を目に見える形で強化している。今回の空母展開もその延長線上にある動きと考えてよい。

 北朝鮮と米韓の軍事的緊張が高まっているのは事実だが、安全保障の問題は奥が深い。表面的に見える動きとそうではない動きが複合的に絡み合い事態が進んでいくのが常である。今回の北朝鮮との緊張の高まりは、別な視点でも解釈することができる。それは米軍の中東からの撤退である。

 二期目を迎えたオバマ大統領は、米国の安全保障政策を大きく転換させるという野心を持っている。その内容は、中東を最重要視する従来の戦略を改め、アジアに軍事力をシフトさせるというものだ。
 だがそれを実行するためには、政治的に非常に高いハードルを越えなければならない。米国とイスラエルの関係である。
 米国はイスラエルの建国後、一貫してイスラエルを支持してきた。米国内においてユダヤ系ロビー団体の政治力が大きいことに加え、中東の石油を安全に確保するためには、強力な米国の同盟国が中東に必要だからである。中東での緊張状態の持続が会社の利益になる防衛産業の意向もある。

 だが最近では、アラブ諸国と対立し続けるイスラエルの存在が必ずしも米国の国益に合致しなくなってきている。またシェールガスの開発で米国が中東の石油に対する依存度が激減するとの予測もそれを後押している。

 従来、米国は中東地域に空母を2隻常駐させていた。だが「アイゼンハワー」が修理のため本国に帰還したことから、「ジョン・C・ステニス」1隻のみの体制となっていた。アイゼンハワーの修理が完了すれば、再び2隻体制とする予定だったが、北朝鮮問題の勃発で1隻をアジア地域に展開しなければならなくなった。最終的にはアイゼンハワーを中東に戻し、ステニスをアジア地域に展開することになり、中東の空母は事実上1隻のまま推移している。

 結果としてなのか、意図的なのかは別として、北朝鮮問題は、米軍の中東でのプレゼンスを大幅に低下させている。この動きは、最終的にはイランとの和解の方向性につながってくるかもしれない。
 一方の軍事的緊張は他方の軍事的緊張緩和をもたらす可能性がある。北朝鮮問題に対しては複眼的見方が必要だ。

 - 政治

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