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愛国心に関する内閣府の調査。日本が豊かになると低下し、貧しくなると上昇する

 

 内閣府は3月30日、社会意識に関する世論調査の結果を発表した。この中で愛国心が強い答えた人(「非常に強い」「どちらかといえば強い」の合計)は前年に比べ2.6ポイント増え 58.0%となり過去最高を記録した。また愛国心をもっと育てる必要について79.8%の人が「そう思う」と答えている。

 愛国心が強いと答えた人の割合が上がっているのは、尖閣諸島問題や憲法改正論議などが影響していると考えられる。だが長期的な傾向を見ると、また別の傾向も見えてくる。

 愛国心が強いと答えた人の割合は1990年代半ば以降、一貫して低下しており、2002年には46.4%になった。だが2003年以降、割合が急上昇を始め、2007年以降は55%前後の数値が続いている。確かに2013年は過去最高の数値となったが、大きな流れで見れば、ここ数年間は、かなり高いレベルで推移してきているといってよい。

 愛国心に関する調査結果の数値は、日本の国際競争力や経済水準と密接に関係している。90年代前半はバブルが崩壊したとはいえ、日本企業の競争力は過去最高水準であり、貿易黒字も大きかった。生活が豊かなので、プライベートな部分に関心が向いていた可能性が高い。

 だが2000年を過ぎたあたりから日本経済の状況が怪しくなり、2003年にはとうとう金融危機直前まで追い込まれた。小泉内閣において「構造改革をしなければ日本は沈没する」と議論されていたのもちょうどこの頃である。
 日本はその後、構造改革路線を否定し、従来路線を踏襲する選択をしたが、デフレが顕著になり生活水準は低下していった。それと歩調を合わせるように、愛国心が強いという人の割合が増加してきているのだ。マスメディアにおいても「日本企業の底力」というような特集をよく目にするようになってきた。

 このように見てみると、愛国心に関する国民の姿勢は案外現金なものであることが分かる。景気がよく私生活が充実していると、愛国心にはあまり関心が向かず、景気が悪く、生活水準が下がってくると、愛国心が盛り上がってくる。
 ちなみに、愛国心を育成するような教育をすべきだという人の割合は、どのような時代でもあまり変化しておらず、1991年当時でも77%の数字となっている。やはり実際に愛国心を感じるかどうかは、豊かさと反比例の関係にあるようだ。

 - 政治, 社会, 経済

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