ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

日本のモノ作りがダメになった本当の理由は、「新しもの好き」を止めてしまったから

 

 製造業は衰退したとのイメージが強い米国だが、半導体の分野ではその存在感がますます強くなってきている。

 3月29日、経営再建中の台湾のDRAMメーカー茂徳科技(プロモス・テクノロジーズ)は、同社の12インチウエハー工場の設備を米グローバル・ファウンドリーズに売却すると発表した。売却額は約3億ドル。同社は、経営再建中のルネサスエレクトロ二クスや東芝に対しても工場の買収を打診していることが明らかとなっている。
 また会社更生手続き中のエルピーダメモリは、米マイクロン・テクノロジーの完全子会社として再建される予定だ。

 日本では半導体事業は「モノ作り大国」の象徴であるとされ、官民を挙げて支援すべきという声が大きい。一方、米国は金融サービスに偏重した国であり、虚業国だというイメージも強い。だがフタを開けてみれば、経営が立ち行かなくなった半導体メーカーの多くが、米国の半導体メーカーに救いを求める結果となっている。

 なぜこのような事態になってしまったのか?それは巷のイメージとはまったく逆だが、日本人がモノ作りに対する情熱を完全に失ってしまったからである。

 日本がモノ作りで大成功したのは日本人が「新しもの好き」であるという側面が大きい。モノ作りは常に進化する世界だ。新しいモノに対する好奇心のない国はモノ作りで成功することはできない。
 半導体が発明されたのはわずか60年前。1970年代に入って米国メーカーが量産化に成功したものである。当時はピカピカの最先端技術だった半導体に日本人はいち早く目をつけ、コストダウンに成功、日本は米国をしのぐ半導体立国となった。自動車、造船、鉄鋼などもすべて同様である。その当時、ピカピカの最先端だった技術に真っ先に飛びつき、技術を磨いたことで成功することができた。

 だが米国の新しもの好きは日本人を上回っている。DRAMのコスト戦争に負けた米国の半導体メーカーの中には、DRAMから撤退し、より新しい技術であるマイクロプロセッサに路線転換するところが現れた。その代表が現在ダントツ世界トップの半導体メーカーであるインテルである。さらに米国は新しいモノを追及し、やがてはハードからソフトへ、さらにはネットへと技術を進めていった。その結果が現在のGoogleでありAppleなのである。

 現在の米国から見れば、半導体はもはや古い産業であり、完全にコモディティ商品だ。ハサミや鉛筆といった文房具のようなイメージに近く、先端産業ではないが、決してなくなるものではない。だがコモディティ商品である以上、徹底的な合理化とコストダウンを実施しなければ、経営を続けることはできない。米国の半導体メーカーが生き残ったのは、これらを忠実に実行してきた結果なのである。

 だが日本人は1980年代でモノ作りに対する好奇心を失ってしまい、そこから先には進もうとしなかった。古い技術にしがみつき、いつまでもそれを国の根幹であると間違った認識をしている。

 かつて半導体は「軽薄短小」と呼ばれ、古い産業からは軽蔑され批判されていた技術であった。ちょうど現在のネット技術と同じような扱いである。日本が成功できたのは、そういった保守的な価値観や批判などものともせず、新しいことに次々とチャレンジしたからである。だが現在の日本には当時のようなガッツはまったく感じられない。むしろ国民を挙げて、新しい時代を拒否しているようにさえ見える。

 もの作りニッポンの衰退は、好奇心の欠如というかなり根本的な部分に原因があるのかもしれない。もしそうだとすると、復活への道のりは相当厳しいものになりそうだ。

 - 社会, 経済

  関連記事

peugeot
政府主導なのにお金を出すのは中国企業?日本が学んではいけない仏プジョー救済劇

 経営不振に陥っているフランスの自動車大手プジョーシトロエングループは2014年 …

wine02
日本産ワインのブランド力強化法案は効果を発揮するのか?

 国産ワインのブランド力を強化するため、自民党が「ワイン法案」について検討してい …

chromecast
グーグルがテレビで動画を楽しめる安価な端末を発売開始。そのインパクトは?

 グーグルは2014年5月27日、テレビに接続するだけで、スマホやタブレットの動 …

nichigin04
日銀が追加の量的緩和策を見送り、金融政策を現状維持とした理由

 日銀は2014年4月8日、金融政策決定会合を開催し、金融政策の現状維持を決定し …

eikokumei
英国がEU単一市場からの撤退を表明。予想の範囲内だが、今後の交渉は難航か?

 英国のメイ首相はEU(欧州連合)からの離脱をめぐり、EU域内の単一市場から完全 …

amarikaiken
甘利氏の「予想」通りGDPは上方修正。発言の何が問題なのか?

 内閣府は2015年12月8日、2015年7~9月期のGDP(国内総生産)改定値 …

hitogomi
投資も消費も消極的。日本経済のマインドはかつてのデフレ時代に戻った?

 内閣府は2016年1月14日、11月の機械受注統計を発表した。主要指標である …

sagawajoshi
佐川急便の1万人主婦配送要員採用は、新しいサービスの入り口になる?

 佐川急便は今後2年間で1万人の主婦パートを採用する。少量の荷物を自宅周辺で配送 …

kanntei
政府が解雇要件を緩和する方向で検討を開始。だが公務員だけは例外という大矛盾

 政府はこれまで法律や判例で手厚く保護されてきた労働者の解雇要件を大幅に見直す方 …

ichiganrefu
日本企業の世界シェア調査。トップ品目も多いが、縮小市場・低付加価値が目立つ

 日本経済新聞社は2015年7月5日、2014年における主要商品・サービスシェア …