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米国ではなぜ自宅の不動産が超優良な資産になるのか?

 

 米政府の管理下で経営再建中だった米国の住宅公社2社(ファニーメイとフレディマック)が、2012年12月期の決算で黒字を達成した。2社とも通期の黒字は6年ぶりで、米国の住宅市場の改善が急ピッチで進んでいることが明らかとなった。このニュースは米国経済にとって極めて大きな意味を持っている。

 米国の家計部門は、総額約20兆ドル(約1880兆円)もの不動産を所有している。家計が保有する資産のうち不動産が占める割合はむしろ日本の方が高いくらいだが、問題はその現実的価値である。

 日本では住宅は一度買ってしまうと価値が下がり、なかなか売ることができない。このため換金性の高い資産にはなりにくいのだが、米国は違う。

 米国では中古住宅市場が発達しており、新築住宅の7倍もの中古住宅が流通している。換金性が極めて高く、米国の一般庶民にとって自宅の不動産は最大の資産でもあるのだ。

 リーマンショックによって住宅価格が下落したことで、多くの住宅保有者が価格低下に苦しんだ。だがここ1年で住宅価格は急上昇し、それにともなって住宅ローンを取り扱う2社の業績も急回復している。つまり、住宅の差し押さえや競売が完全に一巡し、住宅市場が健全化した証拠なのである。

 庶民にとって最大の資産であり、いつでも換金可能な住宅用不動産が値上がりすることの心理的効果は極めて大きい。日本ではアベノミクスによって株高になり、消費が増加しているというニュースが流れているが、所詮それは富裕層の話である。
 だが全国の住宅用不動産の価格が一斉に値上がりすれば、それは多くの中間層のマインドを変化させる。また米国の場合、年金の株式運用比率が高く、株高は直接庶民の懐を潤すという効果もある。株価や不動産価格が上昇したという話題が、7時のニュースのトップになる背景にはこのような事情があるのだ。

 では米国の住宅用不動産はなぜ優良な資産となるのだろうか?それは住宅の質と構造にある。米国の住宅は、大ききさや価格はバラバラなのだが、基本的な家の作りは全米どこにいっても同じである。つまり徹底的に商品であることが意識されているのだ。また建材の質が高く、築年数を気にする人がほとんどいない。築100年の住宅でも当たり前のように売られている。

 また不動産の情報インフラが日本では考えられないくらい充実している。米国の代表的な不動産検索サイトはZillowTruliaだが、ここでは物件の価格、賃貸に出した場合の予想賃料、過去の売買履歴、評価額など、必要な情報がすべて網羅されている。
 また万が一、住宅ローンが払えなくなっても自宅を放棄すればよく、個人に借金を負わせないシステムになっていることも大きい(本誌記事「日本ではなぜ借金の個人補償がなくならないのか?」参照)。

 株高と不動産価格の上昇によって米国の中間層の財布のヒモはさらに緩む可能性が出てきた。米国での消費の拡大は、最終的には輸出増大という形で日本の利益にもつながる。
 だが日本にも米国並みの住宅政策が存在していれば、アベノミクスの効果はもっと大きなものになっていただろう。

 - 経済

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