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日銀による国債の「大人買い」で、大量のマネーはどこへ向かう?

 

 日銀は4月4日、これまでとは規模感の異なる大胆な金融緩和策を打ち出したが、市場では日銀が供給するマネーの行先に注目が集まり始めている。

 日銀は今後2年間でマネタリーベースを毎年60兆円から70兆円増加させるとしている。操作目標を金利からマネタリーベースの絶対量に変更したこともあり、これは確実に実行されることになる。
 国債は毎年50兆円ずつ日銀が購入し、その分のマネーが市場に供給される。またETFの買い入れも毎年1兆円を予定しているので、株式市場にもマネーが流れ込む。

 問題は市場に流れ込んだマネーが、次に向かうのか?ということである。積極的な量的緩和策に批判的な人は、日銀がどんなに国債を購入しても、その資金は当座預金に貯まる一方で、市中には出回らないと主張する。確かにこれまでの日本はそのような状態であった。2001年から2006年にかけて実施された量的緩和策では、結局日銀が提供したマネーは国債を買っただけで終わった。

 積極的な緩和策に賛同する人は、量的緩和策を小出しにせず、効果があるまでやれば、いつかは必ず市中にお金が出回ってくると考えている。今回の「黒田砲」はまさにそれを狙ったものといえる。なにしろ、日本の新規国債発行額を超える金額(一般会計のみで特別会計を含まず)の国債を日銀が「大人買い」するのだ。当座預金にお金が貯まる一方では、さすがの銀行も困ることになる。
 しかも日銀の国債購入対象を長期債にも広げたため、長期債の金利も低下が予想される。銀行にとってはもう買える国債は残っておらず、嫌でも別な運用先を探さなければならない。

 だが残念なことに、少なくとも現段階では企業の資金ニーズは極めて乏しい。容易には新規融資は伸びないだろう。

 可能性があるのは、円安に進行による決済資金の増加である。実際、円安によって海外からの輸入代金が増加し、その分運転資金に対する需要は拡大している。円安がさらに進行し、日本の輸入額がさらに増加すれば、銀行の貸し出しは増える(日本の輸入額は年間70兆円程度ある)。
 もうひとつは不動産に対する融資である。不動融資には、一般的な住宅ローン、アパートなど事業用不動産への融資、さらには不動産ファンドに対する融資がある。
 すでに金融機関は住宅ローンに十分注力していることを考えると、やはり残っているのはREITなど不動産ファンドへの融資ということになる。

 REITに対するレンダー(貸し手)としての業務は銀行にとって非常に美味しい。住宅ローンは1件あたりせいぜい数千万円だが、REITへの融資は数十から数百億円と規模が大きいのだ。規模が1000倍あるからといって、審査の手間が1000倍になるわけではなく、銀行にとっては効率がいい。

 すでに多くのREITが増資を行い新しい物件を次々に取得している。REITは一定の範囲内でレバレッジをかけるので、物件の取得があれば、その分融資も伸びる。REITの価格は日経平均をはるかに上回る水準で上昇しているが、市場はこのあたりの事情を織り込んでいると思われる。

 REITが保有するのは大都市の超優良物件。REITが物件を買えば、全国の地価を容易に押し上げることができる。物価上昇のトリガーとしてはもってこいだ。黒田総裁は、実はこのあたりのメカニズムを2%物価上昇の隠れた本命と位置付けているのかもしれない。

 - 政治, 経済

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