ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

黒田新体制で役回りが激変した日銀の木内審議委員。孤高の慎重論を貫けるか?

 

 日銀による異次元の量的緩和策を決めた4月4日の政策決定会合では、黒田総裁の提唱する緩和策の拡大に一人慎重な姿勢を示した木内審議委員のスタンスに注目が集まっている。

 今回の決定会合では、2%の物価目標について「2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する」としたが、木内委員からは、この文言を削除し「2年間程度を集中対応期間と位置づけて」に変更するなどの議案が提出された。採決の結果は木内委員以外は全員反対で否決となり、今回の文言となった。また「量的・質的金融緩和の継続」についても、木内委員のみが反対票を投じている。

 木内氏は野村證券金融研究所出身の民間エコノミスト。白川総裁の時代には、政策決定会合ではあまり目立った議論は行われず、白川総裁と日銀が提唱する「消極的?緩和策の拡大」を追認してきた。
 木内委員は2012年7月から審議委員に就任しているが、民間エコノミストの木内氏を登用した人事は、緩和策に消極的という日銀に対する批判を和らげたいとの意向があったと言われている(本誌記事「黒田日銀総裁正式決定。これまで白川路線に賛同していた審議委員は意見を変える?」参照)。

 当時の審議委員の中では、緩和策に積極的と思われていたが、黒田氏の総裁就任で雰囲気がガラッと変わってしまった。木内氏は最も消極的な立場になってしまったのだ。

 木内氏はただ一人反対票を投じることで、自身のブレない姿勢を示したことになる。そこで気になってくるのが、白川時代に消極的路線を支持してきた他の審議委員の見解である。その時の状況に合わせて柔軟なスタンスを取ることもある意味では重要だが、180度転換したともいえる今回の政策決定の中身を考えると、論理的整合性を確保することには少々無理があると思われる。

 いずれにせよ、シャンシャン総会的に推移してきた日銀の政策決定会合で意見の対立が見られることは悪いことではない。今後は、いい意味で各審議委員の発言に注目が集まることになるだろう。

 - 経済

  関連記事

canonfactory
キヤノンの国内生産回帰は評価すべきだが、雇用の増加につながるわけではない

 キヤノンは2015年までに自社製品の国内生産比率を現在の42%から50%へ引き …

dentaku
政府がとうとうデフレの表現を削除。だが実態は輸入価格上昇によるインフレ

 政府は2013年12月24日の月例経済報告において「デフレ」の表現を削除する。 …

suzuki
軽のスズキがババを引いた税制改正大綱。自動車業界もゼロサムゲームに突入

 自民・公明両党が発表した2014年度の税制改正大綱では、自動車税の扱いが一つの …

matsuishouken
松井証券がとうとう金利も手数料もゼロ円という自爆価格を設定。どうやって儲けるの?

 信用取引に関する来年1月の規制緩和をうけて、ネット証券業界では自爆テロともいえ …

abe20130113
安倍首相が参院選を優先しTPP交渉参加の表明を見送り。日米交渉への影響は?

 安倍首相は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加問題について、2月以降 …

chery
中国で大手自動車メーカー同士が初の本格提携。外資依存からの脱却を目指す

 中国の自動車メーカーである奇瑞汽車(安徽省)と広州汽車(広東省)とが提携する。 …

shouhishakinyu
上限金利を元に戻す案を検討開始との報道。結局議論は振り出しに?

 貸金業者における上限金利を以前の29.2%に戻す案が与党内で検討されているとい …

tosho02
増配など株主還元策が顕著に。背景には円安と公的年金改革が

 企業が得た利益を株主に還元する動きが顕著になってきている。企業における資本効率 …

roujin03
イタリアで若者のために高齢者の早期退職を促す動き。だが社会全体の負担は増加?

 改正高齢者雇用安定法の施行によって、日本では生涯を通じて働くことが可能になって …

imf201304
日本に財政健全化を強く求めたといわれるG20声明はどう解釈すべきなのか?

 米ワシントンにおいて4月18日と19日、G20(20カ国・地域財務相・中央銀行 …