ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

英ヴァージン社が宇宙船のテスト飛行に成功。真の狙いは宇宙開発事業の請負?

 

 英ヴァージン・グループ傘下の宇宙旅行会社「ヴァージン・ギャラクティック」は4月3日、米国カリフォルニア州において、同社の商業用宇宙船のテスト飛行を行った。高高度から投下された機体はスムーズに滑空し無事地上に着陸した。

 同社の創業者で大富豪のリチャード・ブランソン氏は2012年7月、商用宇宙旅行サービスとして宇宙船「スペースシップ2」を2013年に打ち上げると発表していた。1号機には自身と息子2人も乗り込むと宣言していたが、今回のテスト飛行成功で、夢の実現にさらに一歩近づいた。

 スペースシップ2は、乗客6人が乗り込むことができる。母船を使って低軌道に投入され、約2時間の宇宙旅行を楽しむことができる、完全に無重力となるのは約5分間で、その間乗客はシートベルトをはずして無重力を体験することができる。旅行代金は約20万ドル(約1920万円)で、すでに数百人もの予約が殺到しているという。

 実は、同社のサービス以外にも、宇宙旅行を提供するサービスは世界各地で準備が進められている。日本でもホリエモンこと堀江貴文氏が宇宙ビジネスに参入する方針を明らかにしている。

 ただ個人相手の宇宙旅行サービスは、現実には小さなビジネスだ。確かに1人2000万円と高額だが、6人乗りという同社のサービスでは1回あたり1億2000万円しか売り上げることはできない。同社が宇宙ビジネスに参入する本当の狙いは、もっと大きなところにある。衛生の打ち上げ代行や国家の宇宙開発プロジェクトのアウトソーシングである。

 これまで宇宙開発は先進国政府の独壇場であった。だが技術の進歩とグローバル化が進み、今では途上国でも容易にロケットを打ち上げられるようになってきた。先進国では、宇宙開発についても可能な限り民間にアウトソーシングする動きが出てきている。

 米航空宇宙局(NASA)の連邦政府予算全体に対する割合は年々低下している。 ここ30年の宇宙開発の主役であったスペースシャトルは2011年7月のフライトを最後にとうとう退役。国際宇宙ステーション(ISS)への物資輸送などは国際協力や民間ロケット会社に任せる方針に転換した。NASAは天体の探査など科学研究分野に注力していく方針だ。

 この流れを受けて米国では、月への有人宇宙飛行プロジェクトを丸ごと請け負うという野心的なベンチャー企業も現れた。NASAの職員らが設立した会社GoldenSpike社は2020年まで2名を月に送るミッションを実現したいとしている。現実にプロジェクトを実施することが可能なのか疑問の声もあるが、複数の途上国政府と交渉を進めているという(本誌記事「とうとう宇宙工学もコモディティ化?米国で政府の宇宙開発をアウトソースする会社が登場」参照)。

 情報技術の発達やグローバル化は、あらゆる分野の技術をコモディティ化してきた。この流れは宇宙開発も例外ではない。近い将来、宇宙開発の分野も政府の独占が崩れ、ヴァージンやGoldenSpikeのような民間会社が主役となる時代になるのかもしれない。

 - 政治, 経済, IT・科学

  関連記事

kyouiku
教育再生会議が英語教育の拡充を提言。だが特定校重点支援という概念には疑問の声も

 政府の教育再生実行会議(座長・鎌田薫早稲田大総長)は5月28日、大学教育などの …

bouekitoukei 201501
1月の貿易統計、輸出数量がようやく増加傾向に。要因は好調な米国経済

 財務省は2015年2月19日、1月の貿易統計を発表した。輸出額から輸入額を差し …

gooddesign
グーグルマップの受賞禁止で期せずして注目を浴びたグッドデザイン賞のビジネスモデル

 日本デザイン振興会が2013年度グッドデザイン賞の大賞(内閣総理大臣賞)として …

obamairan
イランの核問題で暫定合意に到達。本格合意なら、国際秩序の変化がさらに加速

 イランと欧米中露6カ国は11月24日、イランの核問題をめぐる協議で合意に達した …

suzukimuneoototake
ベビーシッターをめぐる鈴木宗男vs乙武の論争は、日本社会の映し鏡

 埼玉県でベビーシッターに預けていた男児が死亡し、シッターの男が逮捕された問題で …

taiwanshobancho
10年以内に台湾問題を解決するとも取れる、習近平主席による注目発言の背景とは

 中国が台湾の統一工作に積極的に乗り出している。APEC(アジア太平洋経済協力会 …

takenaka
経済財政諮問会議のメンバーが固まる。改革イメージ醸成と経団連外しが狙い?

 政府の経済政策の司令塔となる経済財政諮問会議や日本経済再生本部のメンバーが明ら …

monju
もんじゅの検証が行われないまま、新しい高速炉の開発計画が着々と進行中

 政府は廃炉が予定されている高速増殖炉「もんじゅ」に代わる新しい高速炉を開発する …

joyou
LIXILグループの中国子会社破たん。積極的な海外M&Aはリスクなのか?

 LIXILグループが、海外子会社の破たんによって大幅な減益に追い込まれる見通し …

no image
維新ガタガタ!問題公約案を橋下代表や松井幹事長が相次いで批判

 国軍の創設や在日米軍の撤廃、アジア通貨圏の構築など、極右政党丸出しの公約案を明 …