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米軍基地返還で日米合意。辺野古移設が普天間返還の条件となってしまう理由とは?

 

 日米両政府は4月5日、沖縄県の米軍嘉手納基地町など)以南の施設に関する返還計画で合意した。焦点となっていた普天間飛行場については辺野古への移設が条件となり、返還は確約されなかった。また時期についても2022年度以降となり、期限も明示されなかった。

 政府は「沖縄の負担軽減にとって極めて有意義」(安倍首相)との立場だが、沖縄県の仲井真知事は、普天間基地が当分の間残ることや、辺野古への移設が返還の条件となっていることについて懸念を表明している。

  沖縄返還後、沖縄の米軍基地をめぐっては、これまで多くの交渉が行われてきた。だが今回の基地返還交渉が従来と異なっているのは、米軍が沖縄から撤収する動きの中での交渉という点である。

 米軍(特に海兵隊)は現在、大規模な組織再編の真っ最中であり、従来のように日本に大量の部隊を駐留させるやり方から、即時性の高いより柔軟な体制へのシフトを進めている。これまで沖縄に常駐していた海兵隊はグアムやオーストラリアなどに配置転換されている(本誌記事「新しい米国の世界戦略で在日米軍がいなくなる?」参照)。

 大雑把に言ってしまうと、沖縄での拠点を辺野古に集約し、それ以外は日本に返還するという方針である。つまり沖縄が長年求めていた米軍の撤収が始まっているのである。米軍としては、有事の拠点としての辺野古だけは何としても確保したいと考えており、基本的には沖縄からの撤収なのだから理解して欲しいという考えだ。

 だが沖縄県民からしてみれば、他の基地から海兵隊が撤収しても辺野古には大きな拠点が残ることになる。結局沖縄県民がすべてを負担することになると考えており、多くの県民が辺野古との交換条件について納得していない。

  地政学上沖縄は重要な場所であり、米国は沖縄以外で海兵隊の拠点を設置することは基本的に考えていない。海兵隊員を輸送する揚陸艦隊の母港が佐世保であるという影響も大きい。米軍は基本的に東シナ海や南シナ海での有事を想定しており、佐世保よりも西側に海兵隊の基地を設置することはあり得ないからだ。

 沖縄の基地問題は、ややもすると基地を抱える地元対策の話になりがちだが、それは違う。最終的には米国の世界戦略と日本の安全保障政策に直接的に関係してくるテーマである。沖縄の基地問題がなかなか解決してこなかった最大の原因は、国民の安全保障に対する関心が低かったことが大きく影響しているのだ(本誌記事「普天間基地の県外移設に関する議論は、なぜ聞いていてスッキリしないのか?」参照)。

 - 政治

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