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2月の経常収支は黒字転換したが、大きな流れは変わっていない

 

 財務省は4月8日、2月の国際収支を発表した。貿易収支は6770億円の赤字だが、円安の進展によって海外からの利子や配当が増え、最終的な国の儲けを示す経常収支は6374億円の黒字となった。黒字転換は4カ月ぶり。ただし、今回の黒字転換は季節要因も大きく、季節調整済みの数値では若干の赤字となっている。

 日本は企業の輸出競争力の低下や原発停止によるエネルギー輸入の急増によって、慢性的な貿易赤字体質になってきている。
 だが日本は、これまでに蓄積した膨大な貿易黒字を海外に再投資しており、毎月1兆円以上の不労所得(利子・配当など)がある。
 このため、貿易による赤字と投資収益が相殺され、何とか経常収支は大幅赤字にならずに済んでいる。

 もし日本企業の競争力が維持され円安だけが進んでいけば、貿易赤字が減少し、利子・配当が増加するので、経常収支は横ばいか改善に向かうはずだ。

 だが必ずしもそうとは限らない。日本企業の競争力低下が止まらない場合、輸出の減少を円安でカバーできなくなり、貿易赤字がさらに拡大する可能性がある。また世界的な景気低迷によって貿易額そのものが減ってきており、特に中国向けの輸出が大きく落ち込んでいる。エネルギー供給も不安定なままだ(本誌記事「2月の貿易統計。赤字は8カ月連続。米国向けの輸出だけが絶好調」参照)。

 経常収支の赤字が長期的、構造的問題だとすると、それを解決する手段のひとつは海外直接投資の増加である。
 日本の海外に対する直接投資の額はまだ100兆円程度しかなく、国内には資金が滞留している。投資収益率の高い直接投資を増やすことができれば、経常収支の改善に大きく寄与するはずである。ただ2月の海外直接投資は約1兆円と前年同月比で23%も減少しているのは少々気になるところだ(本誌記事「経常収支が3カ月連続赤字。最後の頼みは直接投資増加だが、円安という大敵が・・・」参照)。

 もっとも当分の間は円安による株価の上昇などで、国内経済にはプラスの効果が大きいだろう。ただこうした傾向が長期間継続すると次第に悪影響が目についてくることになるかもしれない。それまでの間に、どれだけ海外投資を増やしていけるかが、今後の日本の経常収支を大きく左右することになる。

 - 経済

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