ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

個人投資家向けの優遇税制(日本版ISA)が前途多難な状況

 

 小口の個人投資家向け優遇税制である日本版ISA(少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)の導入をめぐって証券会社が困惑している。

 この制度は、年間一定金額まで株式投資の配当所得やキャピタルゲインを非課税とするもので、英国のISA制度をもとに策定されたことから、日本版ISAとも呼ばれている。
 2013年1月に自民党から提出された「平成25年度税制改正大綱」に盛り込まれ、その後閣議決定された。2014年1月に導入が始まる予定。

  一定金額まで非課税になる制度であり、証券会社としては絶好の顧客獲得チャンスに見える。
 だが証券会社における営業の現場では、そうでもなさそうな雰囲気なのだ。問題なのは制度の具体的内容だという。

 この優遇制度を利用するためには投資家は専用の口座を開く必要がある。だが口座が開設可能としている期間は10年間で、しかも、非課税になるのは5年間だけという期限付きの措置。恒久化も検討しているというが、現段階ではまだ見通しは立っていない。
 さらに、この口座の開設は1人あたり1口座に限定されており、複数の証券会社で同時に口座を持つことができない。しかも、口座開設可能な10年間において、金融機関を変更できるのは2回までで、そこにも細かい制限がある。実質的に1社が1名の投資家を囲い込む形に限定されてしまう。

 証券会社は新しい口座を維持管理するために、相応のシステム・コストをかけなければならない。期間限定でいつまで続くか分らないという不透明性に加えて、投資金額が年間100万円までと上限があることから、手数料収入も限られたものになる。しかも他社に顧客を取られてしまったらそれでおしまいだ。証券会社の中には、ISA口座の見送りについて検討しているところすらある。

 また投資家にとってもいいことばかりではない。非課税期間が終了した後では、売却して利益が出ても、税金を支払わなければならない。非課税期間中に確実に売却を行う投資家でなければ、この口座のメリットを100%生かすことはできないのだ。

 とにかく、制度の中身が非常に分かりにくく、投資家にとっては不便極まりない。「貯蓄から投資へ」と促すための目玉制度らしいが、前途多難な状況だ。

 - 経済

  関連記事

takenaka
安部政権の経済政策に矛盾?カギを握るのは経済再生本部の竹中平蔵氏

 安倍政権が掲げる経済政策「3本の矢」の全体像が見えてきた。3本の矢のうち、成長 …

kokusaishushi201312
国際収支を見れば、日本の輸出不振は1990年代から始まっていた事が分かる

 財務省は2014年2月10日、2013年12月の国際収支を発表した。最終的な国 …

kozeni
消費税の軽減税率導入が決定。どの商品を対象とするのかは巨大な政治利権に

 自民・公明の両党は11日、消費税増税に伴う低所得者への対策として、生活必需品の …

abetoben
アリバイ作り?増税論への牽制?消費増税に関する有識者ヒアリングを8月に集中開催

 内閣府は8月20日、消費税引き上げの影響について有識者からヒアリングする会合を …

jinkouchino
学会誌の女性イラスト事件から考える、オープンな現代社会を生き抜く知恵

 人工知能学会は2014年1月9日、1月発行の同学会誌表紙に掲載された女性のイラ …

titanic2
タイタニック号が2016年に復活。だが建造を受注したのは無名の中国企業

 オーストラリアで複数の鉱山会社を所有する大富豪クライブ・バーマー氏が、豪華客船 …

josei
女性の時間あたり賃金に、生産性向上のヒントがあるかもしれない

 麻生財務大臣による出産発言によって、安倍政権の女性活用政策に再び注目が集まって …

kokusaishusi201302
2月の経常収支は黒字転換したが、大きな流れは変わっていない

 財務省は4月8日、2月の国際収支を発表した。貿易収支は6770億円の赤字だが、 …

nougyouyushutu
日本の農作物輸出が過去最大。だが全体から見れば輸出はごくわずかという現実

 日本の農作物の輸出が徐々に増加している。農林水産省の調査によると、2013年に …

toq
クアルコムの新しい腕時計型端末。目玉の新型液晶はシャープ技術の流用?

 米クアルコムは9月4日、腕時計型の携帯情報端末「toq(トーク)」を発表した。 …