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構造改革路線の生みの親、英国のサッチャー元首相が死去

 

 英国の元首相で「鉄の女」ともいわれたマーガレット・サッチャー氏が4月8日、脳卒中のため死亡した。87歳であった。

 サッチャー元首相の最大の功績は、インフレと低成長にあえいでいた英国経済を立て直し、英国復活の基盤を固めたことである。
 現在では構造改革という手法は極めてポピュラーなものになっているが、これはサッチャー首相が初めて政策として導入したものである。

 英国は以前は「ゆりかごから墓場まで」と言われた手厚い福祉政策で有名な国であった。だが70年代に入ると企業の競争力が低下。経済は低迷しインフレに悩まされるようになった。なかなか低迷から脱出できない状況は「英国病」ともいわれた。

 79年に首相に就任したサッチャー氏は、ストを繰り返す動労組合と真っ向から対立。40以上もあった国有企業を一気に民営化した。また規制緩和、金融改革といった競争政策の導入を断行し、英国経済を復活させた。
 その手法は「サッチャリズム」と呼ばれ、同時期に米国大統領に就任したレーガン氏の「レーガノミックス」と併せて、現在の新自由主義的構造改革路線の原型となっている。

 英国初の女性首相であり、その強硬なスタンスから「鉄の女」と呼ばれ、夫のデニス氏も含めて当時は様々な揶揄の対象にもなった。
 1982年には、フォークランド諸島を突如占領したアルゼンチンに対して軍事力を行使。わずか3カ月で島を奪還した。開戦を決定する閣議で多くの閣僚が戦争に反対したことから「この中に男はいないのか!」と叫んだというウソのような話もある。
 だが実際には夫を尻に敷いていたわけではなく、夫を尊敬するよき妻だったといわれている。

 サッチャー氏が導入した構造改革路線はその後、各国の経済政策の中心的存在となったが、最近では行き過ぎた競争原理主義に対する批判も強くなってきている。

 彼女が現在の世界情勢をどのように見ていたのかはわからない。だが2000年代から認知症を患い、晩年は首相であったことも分からなくなっていたことを考えると、少なくともリーマンショックについては、よく状況を理解できていなかったかもしれない。

 - 政治, 経済

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