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産業革新機構がルネサスを愛国救済。まるで中国の反日デモとの声も

 

 産業革新機構が、経営不振に陥っているルネサスエレクトロニクスに対して、トヨタ自動車やパナソニックと共同で買収を検討していると各誌が報じている。ルネサス買収に名乗りを上げている米ファンドに対抗し、日本が「官民を挙げて支援体制」を構築するという。

 なんとも勇ましい話だが、実態はだいぶ違う。

 何とか外国ファンドの傘下に入ることを回避したいルネサス側と、ファンドを作ったものの投資先がなくて困っている産業革新機構の大談合というのが、その実情である。

 産業革新機構は、オープンイノベーション(従来の業種や企業の枠を超えてチャレンジをすること)により次世代の国富を担う産業を創出するという、目がくらむような高邁な理念を掲げ、政府が1兆円もの保証枠を設定してスタートした官製ベンチャーキャピタルである。

 産業革新機構は、当初からその存在が疑問視されていた。民間のベンチャーキャピタルが目を皿のようにして探し回っても今の日本には優良な投資先がないのである。官のベンチャーキャピタルが出てきたところで、その状況が変化するわけなどない。
 ヘタに組織を作り、国がカネを付けてしまうと、既得権益化してしまい、存在そのものを自己目的化しかねないという指摘が相次いでいた。

 案の定、機構がスタートしてもロクな投資先がなく、オーストラリアの水事業会社やチリの水道会社など、「これってODAですか?」と言いたくなるようなトホホな投資を連発した。
 だが役所は一度作った利権を手放すことはない。また機構に就職した投資担当者にしてみれば、15年の高給と雇用が保証されたオイシイ職場である。案件があろうがなかろうが、投資を続け組織を維持しなければならない(何せ設立当初、ブラックベリーがないと仕事ができないとダダをこね、経産省側を呆れさせた人たちである)。

 そこで急浮上してきたのが、ルネサスのような大型案件である。

 だがルネサスはそもそも、業績不振だった日立、NEC、三菱の半導体部門を分離統合して出来上がった会社。ダメで外出しして、またダメになっただけである。
 米国のファンドに渡ってしまえば苛烈なリストラが待ち受けている。ジャパニーズサラリーマンにとって月給と退職金は人生のすべてだ。ルネサスの経営陣や従業員としては米への譲渡は避けたいところだろう。

 一方、産業革新機構としては、ファンドの組み入れが進み、とりあえずの投資実績を作れる。ルネサスへの投資が「オープンイノベーションで次世代の国富を創出する革新的な事業」なのかなど、この際どうでもよい。
 トヨタとパナソニックを巻き込むのは、国を挙げて支援するという大義名分が必要だから(だいたいパナソニックは他人を支援しているような状況なのか?)。
 すでに産業革新機構はベンチャーキャピタルなどではなく、沈没船の救済ファンドなのだ。

 官民一体で支援という錦の御旗があればどんな案件でもOK。これでは「愛国無罪で何でもアリの中国反日デモと大して変わらない」(業界関係者)ではないか。

 - 経済

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