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最近のアジアへの移住ブーム。以前とはだいぶ様子が違ってきている

 

 アベノミクスが効果を上げてきていることから、日本の将来を楽観視する声も聞こえ始めている。だが一方で、日本の将来を見限り、アジアなど海外に移住する人も着実に増えてきている。タイやカンボジアなどではちょっとした日本人の移住ブームが起こっている。

 これまでも海外移住がブームになったことはあったが、従来の海外移住は、年金をもらえる高齢者が中心であった。
 圧倒的な円高を背景に、日本では平均的な水準の生活しかできなくても、物価の安いアジアに行けばレベルの高い暮らしが可能になるというわけだ。
 もっとも、ごくわずかな年金収入だけを頼りに外国で生活しようというのは、少々安易な考えともいえる。結局は現地になじめず日本に舞い戻ってしまった人も多く、移住は小さなブームで終わっていた。

 だが最近の移住ブームを引っ張っているのは、高齢者ではなく年齢層が若い人たちだ。10年以上前からタイで生活しているKさんは、ここ数年で日本から移住してくる人が変わってきたと話す。Bさんはソフトウェアのプログラマで、日本から仕事を受注してタイで生活してきた。現地には日本人が働ける場所はほとんどなかったからである。
 だが最近では、タイやカンボジアなどには完璧な日本人コミュニティが出来上がり、コミュニティ内部で仕事が生まれるようになってきた。現地に住む日本人を相手にした不動産仲介や日本企業との窓口業務など、日本である程度のビジネス経験があれば、現地で職を探すことも可能になってきている。

 このような環境の変化を背景に、日本から仕事をもらうのではなく、最初から外国で働くことを目的に移住する人が増えてきているという。
 確かになかなか就職ができない日本でくすぶっているよりも、経済が拡大しているアジアで仕事を探す方が合理的といえば合理的である。現地で生活するのであれば、給料の絶対額の違いはあまり気にならないし、今後、円安が進行すれば、給料の違いも縮小してくるだろう。

 もちろん、バラ色の話ばかりではない。中国を含めアジア各国のビザ発給条件は今のところかなり曖昧である。だが、今は厳格な基準が適用されていない国であっても、将来にわたって状況が同じである保証はない。経済水準が上昇するにつれて、移民に対する審査や取り扱いは厳しくなるのが一般的だ。今は夢の国と呼ばれているところも10年後は分からないのである。

 日本は高齢化が進んできており、現在の若者が働き盛りになった時には、より多くの高齢者を負担しなければならない。今のところ少子化対策はうまくいっていないが、逆に少子化対策が効果を上げてしまうと、今度は若年層人口も増えることになり、この世代の負担がさらに増大する可能性もある(本誌記事「日本の人口減少は新次元に突入。少子化対策はむしろ逆効果?」参照)。
 このような状況で、海外への移住が顕著になってくれば、海外移住も政治問題に浮上してくる可能性がある。もしそうなれば、移民の受け入れという、これまで日本人が避けてきた問題に直面することになるのかもしれない。

 - 社会, 経済

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