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憲法改正が参院選の争点に浮上。決断の時なのか、単なる拙速なのか?

 

 憲法改正論議を夏の参院選の焦点にしようという動きが活発になってきた。4月9日、安倍首相は衆院予算委員会において96条(改憲の発議要件を定めた条項)の改正について言及、その後、憲法改正に積極的な日本維新の会の橋下徹共同代表と会談を行った。維新の会は、党の憲法調査会を開催しており、橋本氏は「参院選で憲法改正を争点化したい」と強く訴えている。

 また菅官房長官は8日の記者会見で、96条の見直しに関連し「環境権を入れるのが自然ではないか」と述べた。これは改憲に慎重な姿勢を示す公明党に一定の配慮をしたものであり、逆にいえば参院選では改憲を争点にする可能性が高いことを示した発言ともいえる。

 これまで日本では憲法改正の議論は半ばタブー視されてきたため、正面からこのテーマを議論した経験があまりない。自民党への政権交代をきっかけに一気に憲法改正論議が活発化したわけだが、不慣れなせいもあるのか議論は少々上滑りで混乱気味だ。

 戦後日本の枠組みの中でもっとも問題視されてきたのは憲法9条であり、改憲もこの部分に限定されていれば、議論も混乱しなかったかもしれない。基本的に自衛隊の位置付けと集団的自衛権に関する議論であり、これまで何度も繰り返されてきたことの延長だからである。

 だが、いざ憲法を変えることができるとなると、いろいろなプランが出てくることになる。中には自民党の憲法改正草案のように、憲法そのものの考え方が民主国家における一般的な憲法とは正反対の立場のものもある(本誌記事「憲法改正の動きが本格化?だがまともな憲法が自主制定できるのか疑問との声も」参照)。

 憲法には、国家権力の乱用から国民を守り、国民の権利を定めるという民主主義国家型の憲法と、戦前の明治憲法のように国民を法で統治するための憲法という2つの種類がある。前者は「法の支配」が徹底されることになるが、後者はどちらかというと「法による支配」となり、仮に議会が存在したとしても、形式的法治主義に近くなってくる。

 現在の日本はとりあえず前者に属しているはずなので、最終的にどちらにするのかを決めるのは国民である。だが、この二つは国家体制として正反対の立場であり、9条の解釈よりはるかに根本的な問題である。
 維新の会の憲法調査会でも、「憲法は国家権力から国民を守るもの」とする橋下氏の発言に対し、保守系の議員からは「国民の義務を憲法にしっかり書き込むべきだ」と反論が出るなど混乱が見られた(毎日新聞)という。
 橋下氏の発言はそのまま解釈すれば民主国家における憲法の考え方としてきわめてオーソドックスだが、義務を盛り込むとした議員の発言については、あくまで義務を明示することを主張しているだけなのか、「法による支配」を意図しているのか、あるいは両者の区別がついていないのか、真意は定かではない。

 橋下氏ら改正論者はとにかく議論しないと始まらないというスタンスであり、その考え方には一理ある。だが一方で、あまり意図することなく、国家体制そのものに関する議論にまで踏み込んでしまうようでは、少々拙速に過ぎるという感も否めない。

 憲法改正論議は、そもそも民主主義や法とは何なのかという、日本人が避けてきた重大なテーマをいきなり突き付ることになるのかもしれない。

 - 政治

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