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銀行の貸出が増加中。ただしこの傾向は昨年からで、アベノミクスの効果なのかは不明

 

 全国銀行協会は4月9日、3月末の全国銀行預金・貸出金速報を発表した。全国の銀行117行の貸出残高は前年同月比2.4%増、前月比1.7%増の436兆1484億円だった。伸び率は前月より0.1%拡大しており、2009年7月以来の高さとなった。

 市場関係者は、アベノミクスの成果がどの程度、実体経済に反映されているのかについて強く意識しており、銀行の貸出残高や小売店の販売動向などに注目している。

 今回の貸出残高の増加は確かに従来よりも大きな伸びとなっているが、アベノミクスの効果が表れたと判断するにはまだ少々早い。
 意外なことだが、銀行の貸出残高は2012年の前半からかなりのペースで伸びてきている。伸び率に加速がついてきている面はあるが、このトレンドは今に始まったことではないのだ。

 銀行の貸出が昨年から伸びてきたのは、個人向け住宅ローンを銀行が強化したことと、自治体向け融資が増えていることが主な原因である。
 住宅ローンについては、消費税の増税前に住宅を購入してしまおうという層が増えていることや、低金利が背景となっており、いわば官が作りだした需用といえる。自治体向けの融資は、国からの借金を民間に振り替える制度による特需という面が大きく、こちらも官製需要である。

 一方企業の設備投資向け融資は横ばいが続き、中小企業向けの融資は減少する一方である。3月の貸出増加も大企業のM&A資金の増加が中心で「お金が回っている感じはしない」(メガバンク行員)というのが実情だ。
 ただ、明るいきざしも見えてきている。アベノミクスによるインフレ期待を背景にREIT(不動産投資信託)価格が急上昇し、多くのREITが増資を行っている(本誌記事「REITが次々に増資と物件取得を実施。インフレ期待からまだまだ上昇するのか?」参照)。今年に入ってからREIT向けの融資は着実に増えてきており、これはアベノミクスの効果といってよいだろう。

 今年の夏ごろまでに設備投資向けの融資や不動産向け融資が大きく伸びてくるようであれば、アベノミクスもホンモノといえる。

 - 経済

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