ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

中国の高度成長は完全に終了。だが「市場」として有望なのは、むしろこれからだ

 

 中国国家統計局は4月9日、3月の消費者物価指数を発表した。前年同月比で2.1%の上昇にとどまり、2月の3.2%から1.1ポイント低下した。また景気の動向をより反映するといわれる卸売物価指数はマイナス1.9%であった。

 中国の消費者物価指数は、昨年後半以降は、主に2%前後で推移してきており、物価は比較的安定している。だがそれは、中国経済の成長が鈍化していることの裏返しでもある。
 景気との関連性が深い卸売物価指数は昨年からずっとマイナスの状態が続いており、中国経済がもはや高い成長を持続できなくなっていることを暗示している。

 これまで10%レベルの高度経済成長を長期間持続できた国はない。中国もその例外ではなく、中国はこれから普通の成長スピードを持った国に変わっていくことになる。

 中国の最高指導部はすでに中国の成長鈍化を見据えている。習近平国家主席は、4月7日に行われたボアオ・アジアフォーラムで基調講演を行い「中国の発展は著しいものから安定へと 変化している」と述べ、超高度経済成長は終了したとの見方を示した。現在中国政府は7%の成長目標を掲げているが、その実現は難しいとの見方がもっぱらだ。

 中国におけるこれまでの高度成長は、道路や鉄道、港湾などのインフラ投資が主なけん引役となってきた。日本でかつて列島改造論がブームになったのと同じことである。そしてインフラ建設利権の象徴でもあった鉄道省が、3月に開催された全人代(全国人民代表大会:国会に相当)において正式に解体された。

 鉄道省は全国に鉄道を敷設するという巨大プロジェクトを抱えており、中国最大の利権官庁であった。本来であればその解体には相当な政治的抵抗があり実現は不可能なはずである。だが猛烈な抵抗勢力の巻き返しにも関わらず解体が成功した背景には、インフラ整備のプロジェクトがあらかた終了し、公共工事利権としての「うまみ」が少なくなってきたという現実がある(本誌記事「中国鉄道省の解体は日本の国鉄民営化と同じ」参照)。

 ただ中国市場がこれで終わりというのは短絡的見方だ。日本で列島改造論がブームになったのは1972年、第二次臨時行政調査会(第二臨調)が国鉄民営化を提言したのは1982年である。日本はこれを境に成熟国家型の経済に移行している(成熟経済の舵取りはうまくいっていないが)。
 中国も日本と同様、今後は社会の成熟化が進む可能性が高い。途上国の生活レベルにおける購買力などたかが知れている。だが社会が成熟してくると、個人消費が大きな力を持つようになってくる。中国が「市場」として意味を持ってくるのはむしろこれからである。

 - 経済

  関連記事

girishagikai
ギリシャの国民投票は緊縮策にNo。約束手形の発行となれば、事実上のドラクマ復活?

 IMF(国際通貨基金)など国際機関に対する支払いができない状態にあるギリシャで …

gajoen
都心部で大型不動産をめぐるマネーの動きが活発化。ようやくバブルの闇が消える?

 東京の不動産取引が活発になってきている。量的緩和策によるインフレ期待を背景に、 …

kuroda
黒田日銀総裁が正式決定。これまで白川路線に賛同していた政策委員は意見を変える?

 参議院は3月15日午前の本会議で、日銀の正副総裁人事を可決した。総裁には黒田東 …

e6kei
新幹線がさらにスピードアップ。だが高速化はそろそろ限界に達しつつある

 JR東日本は21日、来年3月のダイヤ改正を発表した。東北新幹線の「はやぶさ」が …

jinkou
日本の人口減少は新次元に突入。少子化対策はむしろ逆効果なのでは?

 厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は3月27日、2040年までの地域別推 …

bussann
三菱商事と三井物産が共に創立以来初の赤字転落。原油安が業績を直撃

 資源安が大手商社の業績を直撃している。三菱商事と三井物産が揃って通期の決算が赤 …

no image
低賃金労働は意外に強い!米国では職の2極分化が急激に進行中。さて日本は?

  NY連銀が米国における30年間の雇用の変化について分析したレポートを発表した …

hulu
日テレが動画配信サービスHuluの日本事業を買収。テレビ局による囲い込みか?

 日本テレビ放送網は2014年2月28日、動画配信サービス「Hulu」の日本市場 …

no image
サラリーマンの閨閥が日本企業をダメにする

 よく知られていることだが、経営危機に陥っているシャープの前会長の町田氏は、同社 …

kosokudoro02
消費税の影響は今のところ限定的だが、やはり公共事業頼み?

 消費増税後の景気を、活発な公共事業が支える構図が明確になっている。内閣府が発表 …