ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

円安で値上げが続々。だが実際にはデフレ下でも値上げは進んでいた

 

 急激に進んだ円安を背景に、製品やサービスの値上げが相次いでいる。製紙大手各社が、ティッシュペーパーやトイレットペーパーなどの値上げに向け、スーパーや卸売業者との間で価格交渉を進めていることが明らかになった(時事通信)。円安で海外から輸入する原料のパルプ価格が上昇しているためで、各社は工場から出荷する家庭紙の価格を10~15%程度引き上 げる方針だという。

 このほか、小麦や食用油、缶詰、宝飾品などの分野でも値上げが始まっている。政府からの要請を受け、ローソンなど一部の企業では賃上げを実施する動きも見られるが、このまま製品の値上げが続けば、給料が増える前に生活費が上昇し、家計が苦しくなってくるかもしれない。

  日本では長期間デフレが続いてきた。国民は賃金の減少などデフレのマイナス面の影響は大きく受けてきたが、物価安というデフレのメリットはそれほど享受してこなかった。デフレといいながら、一方的に値上げしたり価格を据え置く製品やサービスがかなり存在していたからである。

 もっとも代表的なのは電気、ガス、水道などの公共料金である。この2年間で消費者物価指数の総合値は1%近く下落している。だが、公共料金の価格は10%近くも上昇した。しかもこの傾向は震災よりも前から顕著となっており、かなり意図的であることが分かる。エネルギー価格の高騰があるとはいえ、それは他の業種でも程度の差こそあれ同じである。独占・寡占によって競争を免れている業界はデフレなどまったく関係ないことが分かる。
 また書籍や通信など、価格統制の対象だったり、許認可制となっている分野も価格もやはり横ばいか上昇している。

 結局のところ、競争にさらされる業界が値下げを繰り返していたことで、値上げを行っていた独占業種による価格上昇と相殺され、物価の横ばいが維持されていたという構図である。
 だが円安が進んだ現在、競争業種であっても値上げを実施する企業が増えてくることが予想される。下手をすると、デフレのメリットは享受できず、インフレのデメリットだけが直撃するという事態にもなりかねない。

 アベノミクスの第3の矢には、規制緩和なども含めた競争環境の整備が盛り込まれているはずであった。だが産業競争力会議では、規制緩和を進める民間議員と、官僚が主導する特定産業支援路線を支持する民間議員で対立があり、議論が深まっていないという話も聞こえてくる。
 日銀による大胆な緩和策が実現した。今度は政府の対応が試されている。

 - 政治, 経済

  関連記事

businessman04
駆け込み需要で絶好調な1~3月期GDP。10%増税と追加緩和への影響は?

 内閣府は2014年5月15日、2014年1~3月期の国内総生産(GDP)の速報 …

nyse03
絶好調な経済を背景に米国株への関心が高まる。だが本当に落とし穴はないのか?

 投資家の間で、米国株に対する関心が急速に高まっている。米FRB(連邦準備制度理 …

et3com01
NY-北京を2時間で結ぶ超高速リニア計画をブチ上げた起業家の拠点はアパートの1室

 米国のベンチャー起業家が、ニューヨークと北京を2時間で結ぶ、夢の超高速鉄道(リ …

no image
オイルマネーがフランスの貧困地区整備事業に進出。是非を巡って議論噴出

 フランスでは、オイルマネーを使って貧困地区整備事業を行うプランが浮上し話題とな …

kuroda
日銀黒田総裁のホンネはどこに?市場にくすぶるインフレ許容論者説

 日銀は5月22日の金融政策決定会合で、景気判断を上方修正するとともに、前回決定 …

microsofthead
マイクロソフトが40年続いたビジネス・モデルを大転換。ソフトは完全に利用するモノへ

 米マイクロソフトは2015年7月29日、基本ソフト(OS)の新製品である「ウィ …

usmanov
英国長者番付に見るウィンブルドン方式の実態。日本人にこれを受け入れる覚悟はある?

 英サンデータイムズ誌は4月21日、毎年恒例の億万長者リストを発表した。結果は上 …

puerutoriko
ギリシャ問題のウラでデフォルト騒ぎになっていたプエルトリコ。明らかになった意外と豊かな経済

 ギリシャ問題に世界の注目が集まっているが、同じタイミングでデフォルト騒ぎになっ …

rodman
NBAの著名選手が北朝鮮を訪問。かつてのピンポン外交の復活か?

 全米プロバスケットボール協会(NBA)の強豪チーム、シカゴ・ブルズで活躍したデ …

kizuna
どこか胡散臭い言葉「絆」や「安心」に込められた本当の意味

 3.11の震災以降、世の中のあちこちで多用されている「絆」というキーワード。震 …