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2月決算の小売大手決算。個人消費に多少の明るい兆しが見える

 

 2月決算の小売大手各社の決算がほぼ出揃った。小売各社の決算動向は、個別企業の業績という意味だけでなく、個人消費の動向を分析する上でも重要であり、多くの関係者が注目している。特に今年はアベノミクスの効果が実体経済にどのように効果を及ぼすのかに注目が集まっており、例年以上に関心が高い。

  基本的にスーパー、コンビニ、百貨店ともに、ほとんどが増収増益の決算内容となった。
 特に増益傾向が著しいのは百貨店で、大丸と松坂屋を傘下に持つJ.フロント リテイリングは経常利益ベースで40%増益、高島屋は22.6%の増益となった。
 百貨店については、年明けから高額商品を中心に売り上げが伸びており、株高による資産効果と言われてきた。顧客の動きが決算にも反映されてきたことは明るい材料といえる。
 もっとも百貨店は過去4年間、売上の減少に悩まされ続けてきた。Jフロントは売上が16%伸びたが、高島屋はほぼ横ばいである。本格的に客足が戻ってきたのかはまだ不透明だ。

 コンビニはフランチャイズ制を採用している会社がほとんどなので、本部企業の売り上げと店舗の売り上げは必ずしも一致しない。本部企業の業績を向上させるために、フランチャイズ店舗の収益を犠牲にすることが理論上可能な構造となっている。このためコンビニついては、既存店の売上高を見た方が全体が分かりやすい。

 コンビニ各社の売上高はここ4年の間で20%程度増加している。GDPが横ばいという状況を考えると健闘しているといってよいだろう。日本ではかつて大規模小売店舗法(大店法)という出店規制があり、大型店舗の出店が難しかった。コンビニは小売大手が規制から逃れれるために発達させた業態で、結果的に地域商店の衰退を加速させたとの指摘もある。ともかく、コンビニは地域商店から顧客を奪う形で売上を伸ばすことに成功している。

 百貨店と並んで不況による影響をモロに受けてきたのがスーパーである。イオンは今回の決算で増収増益を確保したが、イトーヨーカ堂(セブン&アイ・ホールディングスの一部門)は単体で見れば、売上が減少しており、下落傾向に歯止めがかからない。ダイエーも結局はイオンに吸収されることになった(本誌記事「イオンによるダイエー株が意味するもの」参照)。

 このところ多くの経済指標が示しているのは、高級品の消費は活発になっているが、中間層向けの消費はまだ完全に復活したとはいえないという現状である。また地方経済の疲弊による商圏の消滅といった問題もある。小売大手の決算はこういった状況を総合的に反映しているといってよいだろう。
 ただ、リーマンショック以降続いてきた果てしない売上減少のスパイラルからは、何とか脱しつつあると考えて間違いないようだ。

 - 経済

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