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TPP事前協議の日米合意内容。あらゆる分野で市場開放について米との協議を確約

 

 TPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉参加への最大の焦点となっていた米国との事前協議に関して日米両政府は4月12日合意に達した(写真は合意について説明する安倍首相)。
 自動車分野で米国の関税撤廃を最大限先送りすることや、保険、投資、知財、規制緩和、競争政策など、あらゆる分野における非関税措置の協議を実施することを確約した。米国は日本の参加を議会に通知する承認手続きに入り、7月には日本の交渉参加が決まる見通し。

 日議合意では、日本側は農産物、米国側は一部の工業製品というように、双方が保護したい分野が存在していることを認める内容となっている。その一方で、米国が現在行っている自動車に対する関税を最大限延長することや、米国側が求める分野の市場開放について日米協議を行うことなど、米国側からの要求に対して日本側が最大限譲歩した形になった。

 自動車の関税延長については「米韓FTAにおいて規定されている扱いを実質的に上回るものとなることを確認する」という一文が入っているほか、各分野の市場開放については「具体的で意味のある成果を上げる」という内容も盛り込まれている。

 すでに日本側は米国の意向を受け、かんぽ生命における、がん保険といった新商品の申請に関して「適正な競争条件が確立されるまで認可しない」として、事実上凍結する考えを示している。

 全体として見れば、農作物をTPPの例外品目候補に指定し、TPP交渉の中で取り扱いを議論するという成果を得る代わりに、それ以外の分野はすべて市場解放について事前協議するという形だ。

 TPP交渉参加をめぐる国内の議論では、例外品目の主張は一切認められないのではないか?という声もあったが、今回の事前協議を通じてそうではないことが明らかとなった。だが現実には、事前協議の段階ですでに日本側が相当の譲歩を迫られており、結果的に何一つ主張できないのではないか?という懸念に現実味が増してきたのも事実だ(本誌記事「TPPの影響試算を政府が公表。だが一般均衡モデルを使った試算にはほとんど意味がない」参照)。

 一方TPP賛成派の中からは、この日米合意をきっかけとして、小泉内閣以降、完全に中断していた規制緩和や市場開放の議論が進むことを期待する声も上がっている。

 いずれにせよ、今回の日米交渉をゲームと捉えれば、日本側は完全に「負け」であるのは間違いない。ただ、そもそも後になってからゲームに参加を表明するという状況自体が圧倒的に不利であり、あらゆる面で譲歩を迫られたのは致し方ないのかもしれない(本誌記事「政府が正式にTPP交渉参加を表明へ。だが交渉は大詰めで時すでに遅しか?」参照)。

 あくまでこれは事前協議であり、本番の交渉は7月以降に始まることになる。日本側に本当に交渉能力があるのか、秋口にははっきりしてくるだろう。

 - 政治, 経済

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